馬の生活環境

昼夜放牧・共同放牧を原則とし、放牧地の面積に見合った頭数(1頭当たり0.7~1ha)が群れで生活をします。放牧地内には草地、広葉樹林、針葉樹林、水場、砂場があり、馬は草地で走ったり、木陰に入って休んだり、砂浴びをしたり、自由に行き来することができます。

24時間自由に、そして群れを形成して過ごすという生活は、馬が自然界で暮らす生活様式と同じものです。馬の本能や習性に則した生活をすることで、精神的なストレスを軽減し、穏やかで落ち着いた馬本来の姿を見せてくれます。

ホーストラストでは、昼夜放牧・共同放牧を原則としていますが、病気やケガ、環境への順応状態によって、次の4段階に飼養環境を分け、馬の管理を行っています。

4段階の飼養環境

Ⅰ.完全昼夜放牧

昼夜共同放牧をします。

馬の年齢や健康状態、性格や馬同士の力関係を考慮し、複数の放牧地の中からその馬に合った牧区を選択します。

馬に合った放牧地に放牧することで、ケガや病気のリスクも下がり、各々が穏やかに過ごすことができます。

Ⅱ.制限付昼夜放牧

ケアが施しやすい、事務所近くの放牧地に放牧します。

昼夜、共同放牧が可能なものの、特別なケアが必要な馬が入ります。

治療や特別食、馬服を着せるなど、より細かいケアを行うことができます。

Ⅲ.追込厩舎付パドック

馬たちが自由に出入りできる厩舎を併設したパドックへ放牧します。

昼夜、共同放牧を行うことが難しい馬が入ります。

ケガや病気などで個別管理が必要であったり、高齢で体力的な衰えのある馬もここに入ります。

入厩して間もない馬たちは、ここで昼夜共同放牧の練習をします。

Ⅳ.厩舎

個室の馬房に入れて管理をします。継続的な治療や保護が必要な馬が入ります。

管理方法

一日の流れ

  • 毎朝放牧地の見回りを行い、全頭の様子を確認します。
  • その後各放牧地ごとに馬を集め、一頭ずつ繋ぎ場につなぎ、朝の飼いつけを行います。その際に、※健康チェックを行います。
  • 飼いつけ終了後、馬を放牧します。放牧地ごとに一つの群れとなり、のんびり草を食んだり昼寝をしたり、仲の良い馬と一緒に自由に過ごします。
  • 夕方、再度各放牧地を回り、飼いつけを行います。その際にも全頭の様子を確認し、問題がなければ翌朝まで放牧します。夜間も群れの仲間とともに行動し、放牧地のあちこちへ移動して草を食んでいます。

健康チェックについて

朝の飼いつけの際に、検温、ブラッシング、蹄のケア、ボディチェック等を行います。異常が見つかった場合は、その都度治療やケアを行います。毎日検温をし、記録を付けることにより、小さな変化にもいち早く気づくことができるよう注意しています。

治療・蹄のケアについて

軽度の傷病については、※一次治療としてスタッフによる治療を行います。常備薬で対応したり、馬服を着せるなどのケアを行います。

それ以上の傷病の場合は、※二次治療として獣医師による治療を行います。地元の大動物の獣医師や、鹿児島大学馬診療科の獣医師と密に連絡をとり、大きな異変にも素早く対応できるよう準備をしています。

馬主が希望する場合は、定期的に健康診断を受けることもできます。

蹄のケアについても同様で、軽度の護蹄管理は必要に応じてスタッフが行います。蹄の状態により、治療目的で装蹄が必要な場合は、二次治療として、装蹄師による削装蹄を行います。

二次治療が必要な場合は、事前に馬主へ連絡をとります。

※一次治療・二次治療についてはこちら

飼料について

朝夕の飼いつけ時には、複数の飼料を配合し、馬の状態に合わせて量を調節して与えます。

大麦・とうもろこし、ふすま、麦ぬか、麦殻、アルファルファミール、おから、塩、ビタミンミネラル配合飼料、植物性オイル等、複数の飼料を組み合わせることにより、栄養のバランスを整えています。

放牧地に青草が生えている時期には、自由に青草を食み、冬期など青草が生えない時期には、乾燥牧草を与えます。乾燥牧草は、馬の嗜好性が高いものを選んでいます。

老齢の馬においては、歯が抜けたり、摩耗したりと、採食に問題のある馬が大半です。そのような状態になってくると、乾燥牧草などの硬い飼料を食べることができなくなります。採食に問題のある馬でも十分に栄養を摂取できるように、細かく砕いた飼料を中心に配合し、柔らかくふやかして与えています。

馬房での管理について

重度のケガ・病気の馬や、高齢になり視力が低下した、足腰が弱ったなど、個別に管理が必要な馬は、馬房を使用して管理を行います。また、入厩して間もない馬も、しばらくは馬房を使用して管理します。

馬房の清掃は毎日行い、敷材にはワラを使用しています。

馬房を使用している馬たちも、可能であれば放牧する時間を作り、ケアを行いながら自由な時間を過ごせるよう心掛けています。

多くの乗馬・競馬施設では、馬を個別に馬房で管理しているため、ホーストラストへ入厩直後の馬を急に昼夜放牧にすると、ケガや慣れない環境への精神的ストレスへと繋がってしまいます。入厩後2週間~1カ月程度は馬房を使用しながら放牧を行い、少しずつ穏やかに昼夜放牧・共同放牧へ慣らしていきます。完全に放牧生活へ適応できるまでには、馬の個体差はありますが、1カ月~1年程度かかります。

人間が思っているよりも馬はたくましく、慣れるまでの時間の長短はあるものの、ほとんどの馬が放牧での生活に順応していきます。